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第74回 松山市立拓南中学校 卒業式

2021年3月17日 15時05分

 本日、令和2年度の卒業式を挙行し、第74期生が拓南中学校を巣立っていきました。

 様々な困難を乗り越えた分、大きく成長した姿は輝いて見えました。

 昨日、紹介した桜のつぼみも、卒業生の門出を祝うように、一つ一つ咲き始めています。

 卒業生の皆さん、この桜のように力強く人生を歩んでいってください。拓南中学校にかかわるすべての人が応援しています。

 

(卒業式の様子)

(学級での様子)

(教室から参加した在校生の様子)

【校長式辞】

 寒さも和らぎ、春うららかな本日、この佳き日に、PTA会長様のご臨席と保護者の皆様のご列席のもと、第七十四回卒業式を挙行できますことを心よりお礼申し上げます。

 また、できましたら多くのご来賓のご臨席を賜り、ご激励をいただくとともに、全生徒・教職員がこの場にて卒業生の門出を祝福したかったのですが、本日は叶わず、在校生と一部の教職員はテレビ中継による出席となりました。どうかご理解をお願いいたします。

 さて、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう。

 今、皆さん一人一人に卒業証書を手渡しました。引き締まった表情の中に、中学校生活をしっかりとやり遂げた大きな満足感が感じられ、大変うれしく思いました。

 皆さんは、この三年間、木々の息吹を感じる春に始まり、若さみなぎる夏に汗し、落ち葉の舞い散る秋に愁い、寒風吹き荒む冬に耐えてきました。そして、心身を鍛え、生きる基礎となる知識や技能を習得し、判断力・表現力・実行力などの人として大切な力を培ってきました。また、職場体験や地域社会の方々から、働くことの尊さや共生・共助の大切さなども学びました。

 この間、社会の変化にも厳しいものがありました。特に、新型コロナウィルス感染症は、 全世界で猛威を振るい、今もなお事態の収束が見通せない状況にあり、甚大の被害をもたらしています。

 皆さんの学校生活にも大きな影響を受けました。長期にわたる臨時休業や分散登校というこれまでにない経験をしました。日頃の練習の成果を発揮する集大成である総合体育大会や各種コンクールなども中止となり、悔しく、残念な思いをしました。しかし、そのような中でも、皆さんは、めげることなく実直に物事に取り組み、成長していく姿を見せてくれました。延期となり心配をした修学旅行も皆さんの自覚ある行動で無事に行くことができました。体育大会や文化祭などにおいても、情熱とユーモアを持って下級生を導き、それぞれを温かく思い出深いものにしてくれました。まさに生徒会目標である「やればできる 誇れる拓南」の実践者であり、下級生は、そういう皆さんに憧れ、頼もしく思ったことでしょう。私や先生方も、心から感謝し、誇りに思っています。

 さて、皆さんは本日この学び舎を後にし、羽ばたいていきます。これまで親しんできた友人や先生方と別れることは淋しく辛いことではありますが、また新たな出会いが待っています。これからは、更に溌剌としたチャレンジ精神を養い、より多くの物事に接し、楽しみ、熱中し、視野を広げていってください。

 皆さんの門出に際し、私からは二つのことをお願いします。

 一つ目は、「高い志を持ってほしい」ということです。義務教育九年間は、言わば自分探しの原点でした。義務教育を終えた今、「自分はどういう人生を歩みたいのか」を考え、自らの人生は自らが拓いていくとの決意をすることも大切です。

 元オリンピック陸上競技選手でもある為末大さんは、その著書の中で、人の生き方について『「好きなことをやる」ではなく、「世の中に求められていることをやる」もアリ。』と書いています。彼は、「好きなことをやる」ことだけが素敵な生き方ではないよ、「世の中に求められていることをやる」そのことだって、自分が必要とされる喜びを感じられる、素敵な生き方ですよ。と言っています。誰もが自分の好きなことで成功し、その道をきわめたいと望み、努力します。皆さんにもそうであってほしいと望みます。ですが、思い通りにいかないことも現実にはあります。そのような時は、「世の中に求められていることをやる」という考え方も忘れずにいてください。私は、それも立派な志であり、心の支えになることと思っています。

 桜には桜の花が咲くように、梅には梅の花が咲くように、自分にしかない花の「種」が皆さん一人一人の中に必ず備わっています。それを見つけ、自分が納得して選んだ道を、自信と誇りを持って、歩んでくれることを心から願っています。

 二つ目は、「人を敬い、謙虚な心を持ち続けてほしい。」ということです。皆さんは、多くの方々の支えによって今日という節目の日を迎えることができました。今の皆さんの立派な姿は、皆さんの努力とともに御家族の限りない愛情と、友人たち、地域の方々、そして先生方の温かさの中で育まれてきたものです。

 「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざがあります。人格のある人ほど頭の低い謙虚な姿勢であるとの例えです。若い緑色をした稲はまっすぐに天に向かって成長し、強い雨風や冷害、その他の困難な状況を乗り越え、やがて実をつけ黄金色をした稲穂へと成長します。そして、稲穂は実をつける毎にその重みで垂れ下がります。残念ながら稲穂の中に十分な実がならなかった稲は、一見まっすぐで立派に見えるかもしれませんが、稲穂が垂れることはありません。

 今の皆さんは、若い緑色の稲でありまだまだ成長の途中です。しかし、いずれはしっかりと実をつけ、黄金色をした稲穂に育たなければなりません。自らを高め育てながら、敬い謙虚な心を持っていれば、自分が経験していないことや多様な価値観を素直に受け入れ、必ず成長の糧とすることができます。ともすれば自分本位の考え方に 陥りやすい環境の中でも皆さんには、驕ることなく、人を敬い、謙虚な心をいつまでも大切にしてほしいと願っています。

 最後になりましたが、ご列席の保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。三年間にわたり皆様にとってかけがえのない大切なお子さま方をお預かりし、私たち教職員一同、努力をしてまいりました。中には不行き届きの面があり、ご不満を感じられたこともあったと存じますが、常に本校の教育に対して温かいご理解とご支援を賜りましたことに心よりお礼を申し上げます。お子様は、九か年の義務教育を終了され、新たな人生のステージに進みます。これからの青年期は希望とともに悩みも多くなる時期だと思います。どうぞ、これまで同様、温かく見守り、励まし、そして、支えてあげていただきたいと思います。私ども教職員一同もお子様の成長と今後のご活躍を心から願っております。

 以上をもちまして、卒業生の限りない前途を祝し、一層の成長を祈念して、本日の式辞といたします。

 

【PTA会長祝辞】

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 卒業式にあたり、PTAを代表いたしまして、お祝いの言葉を述べさせていただきます。

 ほんの3年前、皆さんは黄色い帽子にランドセルを背負った小さな小学生でした。そんな姿はもう想像もつかいないほどに皆さんは立派に成長しました。

 しかしながら、皆さんが3年生だったこの1年間は本当に先が見えませんでした。正解の分からない中、各行事のたびに先生方とPTAも何度も話し合いを行いましたが、修学旅行は秋に延期して四国内となり、体育大会、文化祭なども短縮されての開催となりました。例年通りの開催ができず、皆さんに申し訳なく、そしてどうすることもできない状況に無力感を感じていました。

 けれでも、皆さんは修学旅行を仲間と一緒に楽しみ、短い準備時間の中で体育大会も文化祭も最高の活躍、最高の笑顔を私たちに届けてくれました。大切な仲間と距離をとる生活の中で、心はしっかりと絆で結ばれていると感じました。皆さんは、我慢を強いられたかわいそうな卒業生ではありません。今までで一番、仲間と固い絆ですべてを乗り越えた、力強く、そしてたくましい卒業生です。

 皆さんに次の言葉を送りたいと思います。

 「置かれた場所で咲きなさい」

 今日卒業する皆さんは、タンポポの綿毛が風に吹かれて、一斉に飛んで行くように、これから様々な場所にたどり着き、新しい生活を始めます。置かれた場所はそれぞれ違いますが、どんなところに置かれても「花を咲かせる心」を忘れずに持ち続けてください。この3年間で立派に成長した皆さんなら、どこでもきれいな花を咲かせられると信じています。

 でも、時には上を向けない時もあるかもしれません。その時は、無理をせず、代わりに根を下へ下へと降ろし自分を支えてあげてください。そうすれば次に咲く花が大きく立派になると思います。

 今は、期待や不安で胸が一杯かと思いますが、拓南中学校の卒業生として、自身を持って進んでください。

 保護者の皆様、お子様のご卒業、心よりお喜び申し上げます。また、日頃からPTA活動にご協力をいただきありがとうございました。これからもお子様の応援をよろしくお願いします。

 校長先生をはじめ、教職員の皆様方、多感なこの時期の3年間、子どもたちを温かく指導していただき、ありがとうございました。今後とも子どもたちのよき理解者として見守っていただきますようお願いしたします。

 結びになりますが、本日卒業される皆様が、拓南中学校の卒業生として、誇りを持ち、大いに活躍されることを期待し、お祝いの言葉とさせていただきます。